台湾版「都市的醫師―濱野彌四郎之足跡」出版のお知らせ

2022年10月、本会稲場紀久雄評議員の著書「都市の医師―濱野彌四郎の足跡」の台湾版が刊行されました。ご存じの方も少なくないと思いますが、濱野は、我が国の衛生工学の父・バルトン先生の愛弟子として、1896年ともに訪台し、バルトン先生の没後もその遺志を継ぎ、台南水道の計画・設計・施工を担った中心人物で、台湾の近代化の基礎を築いたひとりとして、「台湾の上下水道の父」と仰がれています。

今回、台南水道の恩人・濱野彌四郎の評伝が台湾版(中文版)として刊行されたのは、台南市が水道給水百周年を記念したもので、次なる百年に向けて新たな一歩を踏み出そうという意図のもと実現しました。

原著は、1993年2月20日に水道産業新聞社から、同社の支援と同社記者であった故中村隆一氏の尽力で刊行されたものです。

発刊直後、作家・司馬遼太郎氏の目に留まり、同氏の「台湾紀行」で紹介されました。司馬氏は当時の李登輝総統と対談されましたが、総統の盟友で大実業家の許文龍氏が原著を読まれ、氏は故郷・台南の恩人・濱野彌四郎の胸像を復元されました。台南市は2019年10月、濱野が設計した山上浄水場の全体を「山上花園水道博物館」として整備・保存しました。そして、昨年10月に水道給水百周年を祝し、台湾版「都市的醫師」が刊行されました。

台湾版「都市的醫師―濱野彌四郎之足跡」には、駐日経済文化代表処代表(大使)・謝長廷氏、台南市長・黄偉哲氏、同市文化局長・葉澤山氏が推薦の辞を、さらに許文龍氏が胸像復元の経緯を寄稿されています。翻訳は「バルトン先生、明治の日本を駆ける!」も翻訳された鄧淑晶氏、鄧淑瑩氏ご姉妹によります。

国境を超えた多くの方々の縁のつながりが、「都市の医師」の翻訳に結実したと言えるでしょう。また、そのつながりが、台北市でのバルトン胸像復元にみられるように日台友好を深めていくことにもなったのではないかと思います。著者の稲場評議員の感慨もひとしおのことではないでしょうか。

※刊行から3か月以上が経過、報告が遅くなりましたことお詫びいたします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です