水循環教材のまえがき(暫定)

本書の構成

本書は大きく4つのパートから構成される。まず、第1部では、私たちにとって、水はどのような価値をもち、私たちにどのような恵沢をもたらしているかについて考える。そして、私たちの暮らしと水循環の関わり、関り方の変遷を省みる。ここで、水循環に関わる課題をぜひ自分事としてとらえてほしい。
第2部では、近代化以降、特に戦後の高度成長期を経て、水循環にどのような変容がもたらされたのか、そして、社会はどのような弊害を受けてきたのかを事例を含めて論じたい。これらより、なぜ「水循環の健全化」が必要になるのかを明らかにする。
第3部では、本書の出版に際して訪れた水循環の健全化へ向けて具体的な活動事例を紹介する。水循環健全化のためには、水循環を再生するための技術の社会的実装、法制度の整備が必要である。技術を紹介するとともに、自助、共助のレベルでの実践行動について考察する。法制度の面では、いまだ立ち遅れていると言わざるを得ないが、2014年に制定された「水循環基本法」を含めた制度的な動きを伝えるとともに、制度的課題を明らかにする。
第4部では、水循環の健全化に配慮した生活様式、産業様式、水循環に関係の深い伝統を水循環文化と呼び、水循環文化の発掘ならびにこれを継承するため、水循環の楽しみ方、水循環を学ぶためのワークショップの進め方などを提案するとともに、未来の水循環を描いてみたい。

読者の皆様へ

水循環の健全化が容易に達成できるような課題ではないことは言うまでもない。水循環の健全化のための実践は、それぞれの地域の実情やどれだけの人が参加できるかに依存する。一足飛びに健全化が図れるようなことは期待できない。もちろん、すべて行政に依存するだけでは、水循環の健全化は進められない。本書から、何らかのヒントを得て、自らが水循環の健全化に向けた実践を模索し、「水守」の一員になっていただければ幸いである。

水循環教材のまえがき(暫定)” に対して1件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です