水力発電開発と「水返せ運動」
1960年、大井川中流部に塩郷堰堤が完成、導水管による下流川口発電所への送水を開始した。以降、堰堤から川口発電所(約20km)区間では夏の河原砂漠・冬の砂嵐、河床低下を引き起こした。さらに堰堤上流部では土砂の堆積と河床の上昇、洪水の頻発を引き起こし、さらに沿岸域河口部では汀線の後退(約300m)が発生した。大井川は、明治期以降、水力エネルギー利用のために最初に着目したされた大河であった。ここでは、大井川の水力発電史と「水返せ運動」の履歴、そして今、運動の継承の実態を整理したものである。